俺アニメ。  −こんなん当たったら嫌やVer.−
俺アニメ。 −こんなん当たったら嫌やVer.−
「高機動幻想ガンパレード・マーチ」(アルファ・システム)より
2003-01-17 公開


 それは、冬祭中日の終い時刻だったか。


 「速壬生、ありそうですねえ…」
 「それアリですか」
 「舞、転校生ですから登場が二話か三話辺りなんです。で、速舞VS速壬生って形になるのではと」
 「瀬戸壬生は無いですか」
 「速舞に落ち着けば失恋後の壬生屋と、という感じで?(笑)」
 「…じゃあホントに謎関係は無いんですね」
 「全12話ですよ?1クールにも届いてないじゃありませんか」
 「…来若&若来の筋肉カプが出そうな予感があります」
 「ああ、ありそうですね。カップリング話を言うなら、多分善遠&遠善が出ますよ」
 「って事は、余りないカップリングがアニメ派で出そうな感じなんですか」
 「これを見る限りは」
 「確かに遠坂なら若宮よりはるかに『忠孝様』言いそうですよね(笑)」
 「うわ 何か素子に話しかけてるし(笑)」


 …そんなステキ過ぎる映像を寄越した某ブースに感謝を<誉めてません(爆笑)。



其の壱:蠢動する陰謀(--;



 「一寸。忙しいんだから早くしてくれない?」
 素子は苛ついた声を、その男の背中に投げつけた。


 深夜の倉庫。


 「何時出撃があっても良い様にしなくちゃならないんだから。HWTの整備は人手が幾らあっても足りないのよ?判ってる?」
 「ええ、判っていますよ。整備班長」
 遠坂は、その端正な顔に鷹揚な笑みを浮かべて、ゆったりと振り向いた。
 「貴女が忙しい事は重々承知しております。私もこの地位になる迄は、整備の真似事など、させて頂きましたので」
 素子はフン、と鼻を鳴らす。
 「本当に真似事ね。遠坂家のお坊ちゃんにそんな事をさせる筈も無いし」
 「これは手厳しい」
 「用件は、何?」

 遠坂は表情を改めた。

 「これはプライベートに過ぎて、本来口出しすべき事ではないのですが…」
 「…?」
 「原百翼長。貴女は、かつて司令と関係を持ち、そして別れた−と伺っております」
 素子の顔に朱が走る。
 「な…っ?!」
 遠坂は、すかさず片手をあげて、素子を制する。
 「あの方が御自分からその様な話をなさる筈もありません。これは、遠坂家独自の調査網から調べ上げた事です。あの方に罪はない」
 言いながら遠坂は、制服のポケットから折り畳んだ書類の束を取り出して、素子に差し出した。
 それを引きちぎる様に受け取って、素早く眺める素子の目に、怒りの炎が次第に燃えさかる。
 「ヒ…トのプライベートを勝手に!この痴漢!」
 素子の非難に、遠坂は軽く頭を下げた。
 「申し訳ありません。その誹りは幾らでも受けましょう。ですが、こちらからも言わせて頂きます」
 頭を上げた遠坂の目が、鋭く素子を射抜く。


 「百翼長。貴女は、危険だ」


 その斬り付ける様な、冷たい光に射すくめられて、思わず素子は戦慄した。
 それでも、精一杯の虚勢を、張る。
 「な…何よ!貴方に、私と彼のことは関係ないでしょう?」
 全身全霊で、遠坂を睨み付ける。
 だが、遠坂は、微動だにしない。
 「ですが、別れた後の貴女の素行は余りにも頂けません。これではいつ何時、貴女の行動が、あの方の邪魔になるとも限らない」
 「!」
 遠坂の目は底冷えする光を湛えて、素子を見つめている。


 「忠孝様の障害になる事は、この私が許しません」


 「こんなもの!」
 叫ぶと同時に素子は資料をビリビリに引き裂いて、その残骸を遠坂に投げつける。
 「余計なお世話だわ!」
 「おやめなさい!」
 その語気の鋭さに、素子の動きが止まる。
 遠坂は、散らばった資料を丹念に拾って、再びポケットにしまった。
 「この資料が表に出て困るのは貴女でしょう?そういう短慮が困る、というのです」
 「何よ偉そうに…大体何なのその忠孝様って?家令でもないくせに気持ち悪い。貴方達何?」
 「何でもありません。これは私の一存です。善行家と忠孝様は何一つ与り知らぬ事」
 「私と彼とは…お、終わってるのよ!」
 遠坂の頬に冷たい笑みが浮かぶ。
 「結構。だったらその様に思慮分別ある行動をお願いしたいものですね」
 素子が唇を噛む。
 「でなければ、私は貴女を排除しなければならない。なるべくならそれは、したくありません。あの方が悲しまれる」
 「そんな訳…ないでしょう?アイツは私をフッたんだから!」
 遠坂は柔らかに、笑った。
 「さて。どうでしょうかね」



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