奥之弐:戦隊日誌
三月某日 筆記者:原 素子
速水君と瀬戸口君のデートの約束を聞き出す事に成功。
今週末は発動よん☆
「やめましょうよぅ、こんなこと」
「何言ってるの、これからが面白いんじゃない☆」
「…一寸聞いて良いですか?」
「うるさいわね何よ」
「…何で男同士で『デート』なんですか?」
「しょーがないじゃない!あの二人運命の友なんだから」
「なるほど」
「何でそこで相槌打ってるんですか!」
「しっ!声が大きいわよ!」
四月某日 筆記者:善行 忠孝
速水君と舞さんが週末プールに行くそうです。
頑張りましょう。
「貴方ねえ。何なのこの中身」
「は?何か間違えてますか?」
「違うわよ!いつも貴方がそこらで言って回ってる様な芸のない文だし、それに何?「舞さん」って!「芝村が」で良いじゃない!」
「モトコさん…流石に呼び捨ては…」
「フッ。判ってないですね。『芝村』と書いたらまるで速水君と準竜師がデートするみたいじゃないですか。しかもプールですよ?考えるだに恐ろしいじゃありませんか。強請りには使えますけど、心情的に嫌ですねえ」
「ああ、確かに…」
「フツー考えるかそんなーん!!」
四月某日 筆記者:若宮 康光
司令殿が石津百翼長殿とハイキングに行くので今週は休まれるとの事。
我々はどうしましょうか?
「な・ん・で・すっ・てえ!」
「いや、ですから、何でも百翼長に誘われたそうなんですよ。男子たるもの勇気を出した女子の申し出を断る訳にはいかないという事だそうです。司令殿、男気ありますよね」
「何馬鹿言ってんの!こういう時こそ出番でしょう!怪しげなオカルトマニアの根暗な小娘に良い様に誑かされる馬鹿男の生態を、今こそ明らかにするのよ!」
「いやしかし、その、言うなれば身内じゃないですか。折角ボーリングのチケットも手に入れましたし、その…」
「貴方、私の言う事が聞けないの?」
「…いえ」
「よろしい。で?どこなの場所は?聞いてるんでしょ?」
「はあ。あのー…」
「何?さっさとおっしゃい!」
「…呪う、わ…」
「うわ!」
五月某日 筆記者:善行 忠孝
速水君と整備班長が、サッカー場でデートだそうです。
頑張りましょう。
「ああっ…モトコさん…でも我慢するぞ。俺は友と憧れの人の恋愛を祝福するのだっ!それが男の友情っっっ!」
「その法被とメガホンは何ですか」
「あ、勿論現場で二人を応援するためです」
「…刺される前に止めた方が良いですよ?」
「誰にです?」
「…いや。良いです。それに君は刺されて喜びそうですし」
「はい?」
「とりあえず行きましょうか」