昨日の激戦を勝利して迎えた、全員生存の、朝。
この戦いで、誰一人として無傷な者は居なかったが、それでも結果は大勝、スカウトながらエースの香織がついに地区最大の戦績をあげ、本日何度目かのシルバーソードを授章する手筈になっていた。
いた筈、だった。
それがちょっとした手違いで入院する羽目になり、勲章は司令が代理で受け取る事になった。
「いやー、ほれぼれするわー」
白い包帯も鮮やかに、車椅子を押しながら受け取る様に、祭が感嘆の声をあげる。
「全く。あそこで装甲を落とさなければ、けが人はもう少し減ったのよね」
その背後で素子が、吊った腕をさすりながら、ため息をついた。
「良いじゃないですか。別に潰された人が出た訳でなし」
男子整備組の中から聞こえた弁護に素子は、小さいけれどもはっきりした声でねめつける。
「片付けてる途上で我らがエースに掠めるってのが良いっていうの?馬鹿言わないで頂戴。それをいうならちゃんと貴方達が東原さんを守ってしかるべきでしょう?」
大仰に肩をすくめると、再びため息。
「ホント、情けない」
授章式後、ののみは入院中の香織の元へ、シルバーソードを持って、おつかいにいった。
司令が行くと言うのを、せがんで連れていって貰う事にしたのだ。
自分を整備の運んでいた装甲から、守ってくれた香織に、どうしてもお礼が言いたかったから。
司令は笑って一緒に行きましょうねと言ってくれたのだが、素子がにっこり笑っておごそかに
「あなたは罰として行かせません」
と宣言したので、整備一味に車椅子から降ろされ、行けなくなってしまったのだ。
多分、整備がののみの方へ装甲を落とし掛けたのは、指揮車が突然入って来た所為だから。
しかしながら、素子の否定にはそれ以外の意地悪も含まれてるような気がしたのは、果たして気のせいか。
何れにしても、香織に傷を負わせた戦犯達は全員却下され、結局ののみは若宮に送って貰う事になった。
心配そうな舞や瀬戸口を後目に「だいじょうぶ、ちゃんとがっこうにもかよってるのよ?」と胸を張って、ののみははじめてのおつかいよろしく病院に向かったのだった。
「そうか。わざわざ悪かったな」
香織は上気した顔をののみに向けた。
「た、たいしたこと、ねえんだけどよ、医者の、野郎がさ」
送ってくれた若宮は女性部屋、それも個室という事で、外で待っている。
「ふえ?でもかおりちゃん、かおあかいよ?ねつあるの?」
「へ?へ、い、いや…そ、そんなこと、ねえよ?」
その割に、妙に呼吸も荒い。
「おいしゃさんにしらせたほうがいいですか?」
「い…いや、いい!その…やめて、くれ」
「ふえ?」
ののみは、不思議そうに首を傾げて、香織の顔を凝視した。
香織の方は眼を合わさない。
と。
とくん。
「ふぇ…え?」
その声のおかしさに、香織がののみの顔を見る。
「な、なんだ?妙な声出しやがって」
「なんだか、ほっぺがほかほかするのよ?」
「…ああ、確かに赤いぞ?」
「ふぇ…なんかね、きもちいいのぉ…」
「は、はぁ?」
とろり、とした大きな瞳が微かに震えていた。
「かおりちゃん…あのね…」
んしょ、とののみはベッドの上に昇ると、香織の側ににじり寄ってきた。
「な、何だよ東原」
「あのね、きもちいいこと、おしえてあげる。きのう、おそわったんだよ?」
言いながらののみの手が、香織の顔を掴み、その小さな唇で、口づけてくる。
動く方の手で振り払おうとした、香織の手が止まる。
「!」
小さな舌が、ねっとりと香織の舌を絡め取る。
とても、幼い少女とは思えない、練達の動き。
「…んん」
香織の腰が、もぞもぞと動く。
やがて、ぷはあ、と息をついて、ののみの唇が離れた。
「ののみはうまいねってほめてくれたの」
上気した頬のまま笑むその顔は、余りに妖艶で、幼女のそれではない。
「…んっ」
香織が言葉を継ぐ間もなく、ののみの唇がちゅちゅ、と首筋を這う。
「!」
声を漏らさない様にしている分、香織の身体の震えが大きくなる。
「…っふ…」
その小さな手が、香織の上着の隙間から、大きな胸に触れる。
その指が、立ちきった突起をきゅ、と摘まんで捻った。
「っあ!」
がく、と腰が動いて、香織の口から大きな吐息がもれる。
「…かおりちゃんのこれ、もう、こんなにおおきいんだ」
「…ふ…ぁ?」
もはや香織自身は何を言われているか判らない。
早々と理性をとばしたとしか思えない、蕩けた目つきで、ののみを見ている。
「そういうの、かんどがいい、っていうんだって。ののみもかんどがいいんだよ?」
その手が、掛け布団の下に、降りてゆく。
「…あ」
ののみの手が止まる。
「かおりちゃん、もうきもちよかったんだ。えへへ…ののみ、じょうずでしょ?」
「…んん」
小さな手がそっと掛け布団をずらすと、香織の一糸纏わぬ陰部が露わになった。
その茂みの中に濡れそぼる、異形の「突起が生えて」いる。
「あっや…っ」
香織の頬が朱に染まる。
ののみが笑った。
「ののみこれしってるよ?いっしょにきもちよくなるんだよね?」
んしょ、とキュロットとパンツを脱ぐ。
「ののみのここ、おおきくなったねっていわれたんだ」
自慢げに言うと、異形−張形の反対側に手を添えて、自分の陰部にあてた。
「でも、おやまのおうちにいたときよりちいさいのよ?」
ゆるゆると張形がそのちいさな股ぐらに納まっていく。
「は…っ、あ…っ…あん…っ…んんっ…っあ…」
その微かな揺れの度毎、香織の腰がびくりと動き、吐息が漏れた。
張形を銜え込んだ陰唇は赤く腫れ上がり、既に染み出した液でしとどに濡れている。
「ふぁぁ」
どこにそんな大きいものが入るのか不思議なくらい、綺麗に根本まで納まった。
「ふえ…おなか…いっ、ぱい…」
掠れる語尾が、場に不似合いな健気さを醸す。
普通に見たら少女売春もかくや、という光景だろう。
だが、香織には聞こえていなかった。
腰はぶるぶると小刻みに震えている。
「あ、ああ…っ」
切羽詰まった吐息が漏れた口元から、唾液の跡が顎まで伸びていた。
「かおりちゃん、いきそう?」
最早言葉はない。
上体を支えていた片手が、ガバとののみを抱きしめる。
彼女に縋り付く様に、香織は激しく腰を振り始めた。
「あっ、はっ、あ、あ、う、んっ、ん、は、ぁっ」
ののみの顔も次第に上気する。
「ふえ…え…おなか、きもち、いい、よ…っ」
「あ…っ」
「んく…っ」
同調能力は便利だ(ナニがだ)。
…それはさておく(置くな)。
ののみはくったりした香織を後目に、さっさと張型を抜いてパンツとキュロットを履き、何事もなかったかの様にベッドを降りた。
と。
「あ!めがね!」
その声にガバ、と香織の身体が跳ね起きる。
「!」
ののみの目線は、ベッドの横のサイドテーブル上に注がれていた。
畳んだ車椅子の置かれたすぐ横。
そこには、壊れた眼鏡が置かれていた。
「お、おぅ、誰かが忘れていったんだろ」
香織の動揺を余所に、早速ののみは手をのばす。
「きのうこれ、ののみ、こわしちゃったんだ」
斟酌の一つもする事無く、さも当然の様に、にっこりと。
「何?!」
「うん、ほら」
ののみは香織に眼鏡のフレームの部分を指差す。
確かに、歪み。
「へ、へえ…ホントだ」
「ののみね、おしりでふんずけちゃったの。ごめんなさいっていったら、けがしてない?って。ううん、っていったら、いいよって」
引きつる香織。
「あは…ははは…」
何処か笑いも虚ろだ。
「あれ?かおりちゃん、きげん、わるい?」
「そ、そんなことねえよ」
ののみは屈託のない笑みを浮かべる。
「めーだよ。うそついちゃ」
「じゃねー、かおりちゃーん。ばいばーい」
「あ…ああ、バーイ…」
ののみが若宮に連れられて、帰った、後。
引きつった笑顔を怒りの表情に戻す。
バキ。
香織は、指を鳴らした。
「さぁて…」
最早、先程の艶気は、全く見当たらない。
下半身すっぽんぽんで凄んでも迫力はないが、それでもうっすらと手に立ち上る、青いオーラには、力がある。
ガン!!
真下に叩き付けられた拳によって、布団ごと凹むベッド。
「…説明して貰おうか?」
ベッドの下で青い髪が揺れる。
「あの、あの…す、すいません!」
かーん!
ののみと若宮が遠くで金だらいの落ちる音を聞いた翌日、田辺司令は怪我が悪化し、香織は頭部打撲追加で更に欠席したのだった。
−自爆終−