4.
「良いんですか?」
善行は、念を押す様に、繰り返した。
「ええ、勿論」
「…本当に?」
「しつこいのは嫌われるわよ?それとも何?出来ないって言うの?」
「いや…そんな事はありませんが…」
「ならぐだぐだ言わないの。悪い癖よ?」
善行は少し考える様にしたが、やがて眼鏡を押し上げた。
「わかりました。その様に手配します。前代未聞ですが、文句は言わせません。ですが…」
「なあに?」
「最後にもう一度聞かせて下さい。本当に、構わないのですね?」
素子は溜息を付いた。
だが、それが善行相手の儀式であるとでも言う様に、改めて大きく肯く。
そして、極上の笑みを浮かべて。
「構わないわ。私は彼を、産み直すのよ」
−END.−
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